疾走するアルゴリズム – The Algorithm in Motion


■ 令和五年、明けましておめでとうございます!

 

観客は居なくとも”The Show Must Go On” ということでね。

今回はエリザベス女王杯に沸く阪神競馬場に密着取材しました。昨年のノスタルジア展で「完結篇」を公開してしまってからというもの、プロジェクトを続けるモチベーションも風前の灯。それで迷っていた所、また別の展示会へお誘いをいただいたのでこの作品を新調しました。

写真はレース当日に限定、条件はいかにもイギリスを感じる(雨)(暗い)(望遠)(しかも走ってる馬はめちゃくちゃ早い)というバッドコンディションの中で撮影したもの。

そんな悪条件でもこのレースを選んだのは、昨年は女王含む有名人の方々の訃報が相次いだので、それのトリビュートという意味あいです。レースの前に女王のムービーも流れていましたよ、「人生は競馬と同じ。山あり谷ありです」と。

そんな大苦労作と胸を張りたい訳なのですが、それも地方競馬じゃんといわれてしまえばそこまで。

 

…なのですが、この「馬」という被写体が好都合なのです。というのも、この作品のテーマは「社会進出を始めたAI」だからです。

 

話は逆回転。つまり、2022年夏から画像生成や文章生成などなどAIが一気に身近な存在となってきている、その景色を「撮る」作品として話が始まっていて、それであれば「アレ」をリデザインしよう、次に被写体は「馬」に決め、それだったら有馬記念よりエリザベス女王杯がいいという順番です。

なぜ被写体が「馬」なのかといえば、画像生成AIで最初に話題になったのが『馬に乗る宇宙飛行士』だったからなのです。

ただ、それじゃ「アレ」こと『人為的アルゴリズムで最高に街な画像を作ろう!』は本当に画像生成AIの元ネタなの?というと、実際のところそれは『サマーウォーズ』の冒頭で高校生主人公・健二君が数学パズルを解いたと思ったら世界にはもっとすごい人がいて思い違いだった、というくらいの微妙な立ち位置だと思います。

 

しかしそんな勘違い(?)も、騎馬隊も、おばあちゃんが亡くなってしまうのも『サマーウォーズ』感があり、それがまた「社会進出を始めたAI」というテーマに沿っていますよね。このまま順当にいけば、近い将来明るいSF世界が実現できそうな予感がする。そんな訳です。だから今こそ叫びたい。

 

今年も…よろしくおねがいしまーす!!!

 

(現在表示されている写真は実際の作品とは異なります。実作品は3月開催の展示会後に公開予定です)

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ということで3月になりグループ展も無事閉幕、当該作品を公開しました。

2023年3月の時点では生成AIの進化加減は時進日歩というような具合ですから、その間に”あの”マイクロソフトが検索エンジンやOfficeにChatGPTを取り入れたり、アドビが画像生成にGoサインをだして代わりにExif情報などのメタデータをNFT化して唯一性を担保(コピーコントロールや価値を担保ではない)をするようなことを始めたりと、聞き齧っているだけですがついに”新時代”というべき大変動が起き始めているのではないでしょうか?ワクワクしますね。

 

さて作品詳細は附記に回すとしまして、ここで追加しておきたいのは自己評価ですかね。多分ですがこの作品は九条いつき写真作品代表作の1つになるといって過言ではないんじゃないかと思います。こういった機会はそうそうないですし、それだけの時間もかけました・・・。

なのでこれと同レベルのものを連発できると思ったら大間違いだからな?と、今のうちに言い訳をしておきたいと思います。「ジャンプ」はすぐ強さをインフレさせようとするんだから。

 

次は写真を撮っただけの作品にします(決意)。

 

 

 

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