青を基調とした「うつし世」の風景
■ 附記

龍安寺の石庭は観光客や修学旅行生で年中喧しいけれど、それでもまだ昔日の智慧者が遺した温かみと開眼を促す何かがある。
…といってももちろん、そんな気がするだけだ。
まっとうな寺社が用意するパンフレットには、「開眼」だの「悟り」だの、なぜ水の代わりに石を敷いているかだの、といったような俗説や宗教的な文言は出てこない。

いつ誰が造成したかというような、堅く歴史的な事実がズラズラ並べてあるのみで、まさに科学の勝利なのである。
しかしひと仕事終え、ひと段落つき。でも次の一歩をどこへ向けるのか、何ひとつ思いつかない。
そういう時こそ難しい。
こちらは石のような永遠不変の物ではなく、鏡像が投影される、水物なのだから。

ただ、風に揺らいだ影は一刻を経て、また元の姿に止り、煩わしい真実をひとつ知ると共に、またひとつ
新たな扉を開く。
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■ 識別情報
Series | シスイ |
Photographer | 九条いつき |
Captured Date | 2017.12.18 |
Location | 龍安寺周辺 |
Titles | シスイ_01-03 |
Reproduction Limit | 2 |
ID History | sisui, sisui_re, |
Notice |
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