カーテンコールは止まない – Description

「悲劇と喜劇の重ね合わせである原典」を表現した写真作品

■ 附記



データの保存状態が悪く一度失敗として伏せていたのだが、昨今のAIによるデータ復元が実用レベルに達したため〇ヴァンゲリオンのようにしつこくリビルドした作品。『夏への扉をさがして展』の目玉のひとつとして展示した。

ご覧の通り「シャッタースピードを1秒間に限定して波を撮影するとその写真はまるで、悲劇喜劇を問わず上演する劇場のカーテンが繰り返し昇降しているようだ。」

…という一見わかりやすいデザインフォトである。九条イツキこと僕がたびたび同一のアプローチで撮影しているライフワークだ。


しかしなぜ「デザインとは水と油だ」「ネガティブ・ケイパビリティが大事」と言っている(←?)僕がこれをライフワークといえるのか?その秘密は波…ではなくその逆、渚の方にある。

というのも1秒間露光をすると波の方はもちろん、砂浜の方も実は波と一緒に動いている。するとその写真は拡大すればするほど全体に「ブレが目立つ」ようになる。つまりはこれは”覚悟の上の失敗写真”なのだ。それはちょうど雪景色を眺めるガラスについた傷のようなものであり、悲劇と喜劇の重ね合わせである原典の性質を表現している。

もちろんその”失敗”の原因はカメラブレの可能性や波の押し寄せるタイミングにもよるので話はそう簡単ではないのだが…。


それと最後に恨み節も残しておくと、今回プリントした分は『プロジェクト・メテオロスケープ』として最後の展示会になるので、ということで発色にこだわり紙を選んだところ、メーカーがその紙を廃版にしてしまい再現不能になってしまった。

しかしこれも良い方にとれば、ひとつの「悲劇と喜劇の重ねあわせ」ということかもしれない。

そんな訳で、ポジティブデザインから見るとイマイチ感があるかも知れないが、タイトルに反して繰り返すことのない一枚になっているこの作品は、”覚悟の物語”を裏のテーマとした「世界にひとつを個人でつくる」プロジェクトとしてトリを飾るに相応しいといえるのではないだろうか。

PREVIOUS:Photographic Works / 作品譲渡記録

■ 識別情報


Seriesカーテンコールは止まない
Photographer九条イツキ
Captured Date2022.05.30
Location南伊豆周辺
Titlesカーテンコールは止まない_01-12
Reproduction Limit2
ID Historycurtaincalls,
Notice

■ 登録情報


Title:カーテンコールは止まない_04
Reproduciton (mm)1. 288×288 / 298×298 mm2. print / paper
Exchange 1いつき(仮)
ID:
Exchange 2いつき(仮)
ID:
Exchange 3Nyakkyさん(2025.2.2)
ID:curtaincalls_04

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