青と黄色を基調とした「見る人によって印象が変わる」風景
■ 附記

クラシック音楽と現代ミュージックの違いは大幅な転調があるかないかのような気がするが、実際のところはどうなのだろうか?
やや抑えた前奏からの転調、聴かせるサビという構成はしみじみ良いものだなと思う。
前の2作が続いておきた妙な事件の影響で悪いイメージがついた感があり、早めに更新しておきたいという時にも転調はピッタリだ。

というわけで、今回は黒部峡谷である。それというのも先の気候変動の話にもなるが、首都を洪水から救ったかもしれないダムの話題が気になったからだ。日本でダムといえばクロヨンダム。地上の星である。
しかし戦後史を少し掘ると、その栄光であったはずのプロジェクトも、公共事業にまつわる裏金問題、例えば「黒い霧事件」や自然保護の関心の高まりによって大いに傷がついた。その結果が今の忌避に繋がっているという事らしい。

ただ拙作の『上を向いて歩こう』が記憶のトリガーになるように、大規模水害がおこりやすい環境にあると思われる今、その印象もまた変わらざるをえないのではないだろうか。あとはその公共事業の適用範囲をどうするかという「デザイン」の問題なのである。
この作品はそんな喧しいダム湖周辺を切りとることで、ただ見た目に美しい写真という所にメテオロスケープらしい裏拍を打ち、見る人によってさまざまに印象の変わる風景にしたいと思う。
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■ 識別情報
Series | 転調 |
Photographer | 九条いつき |
Captured Date | 2019.11.06 |
Location | 黒部渓谷周辺 |
Titles | 転調_01−08 |
Reproduction Limit | 1 |
ID History | tenchow, |
Notice |
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