緑を基調とした「リ・リメイク」の風景
■ 附記

原典の『Farewell』、そして一昨年のセルフオマージュ『Farewell Rewinded』、そのブラッシュアップがこちら『Farewell R2』である。どれも桜の木ではなく桜舞い散る風景、風に吹かれた花一枚にフォーカスを当てることを主眼とした写真であり、リ・リメイク作品だ。ただ今回完全にデザインに振った結果、写っているのは桜のみで周辺情報は省略。
これでは撮影した場所の特定ができない…のだが、情報としては「背割堤」周辺だと公開している。石清水八幡近傍を流れる淀川河川敷にあり、細長い堤防の左右に1.4kmの並木がつづく桜の名所だ。例年桜まつりが開催されて人が大勢集まっている。

しかしなにしろだだっ広い河川敷なので、隣町の京都や大阪市内の名所と比べると、桜以外は目ぼしい物がなにもなくやや退屈である。ここへ足を運ぶのは余程偏屈な人達のようにも思える。
もしそれでもわざわざこの「背割堤」を選ぶ理由があるとすれば、ここへ込められた象徴的な意味あい、いわばコンセプトへのシンパシーではないだろうか?つまり「背割堤」とは、桜をヴィジュアル的な注目点とした一種のコンセプチュアルアートなのである。(※詳しくは石清水八幡宮周辺を舞台とした作品『隠遁者は思う』で解説)

そのコンセプトをフランクにいうと「立場の異なる人達でも協力することもある」ということだと思う。そう考えると、なぜこの片田舎の河川敷のややつまらない花見らしき風景が、さまざまなドラマやアニメの背景として繰り返し取り上げられているのか?という疑問に答えがでる。それに”今”撮るべき写真作品としての責任も、ある程度果たせるのではないだろうか。
…だが同じ趣向の作品をこれ以上続けるのは流石に気が引けて、この辺りで打ち止めにしようと思っている。『Farewell』の頃ならともかく、今どき動画を撮って後で花一枚に焦点があっているものをピックアップするという方法でもっとセンスいい写真を簡単に実現できるのでは?と考える事情もあったりして。
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■ 識別情報
Series | Farewell R2 |
Photographer | 九条いつき |
Captured Date | 2022.04.04 |
Location | 背割堤周辺 |
Titles | Farewell R2_01-06 |
Reproduction Limit | 3 |
ID History | r2, |
Notice |
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