夏の終わりとニンジャ・ハードボイルド・ワンダーランド – Description

過ぎゆく夏を表現した写真作品

■ 附記



現象の風景をテーマにしている以上は「夏の終り」を撮るのが課題のひとつ、としていた気がする。普遍性のあるランドスケープに対して、儚く消えてしまう現象の風景。そのひとつとして、「夏の終り」は王道中の王道だろう。今回はまさにそれをなんとか撮ろうと奮闘した。

ところがそんなミニチュアスケールの関心事とは裏腹に、マクロ世間では一大イベントを強行したのちにパンデミックを拡大させるということをしているのだから、それを加味すると、ロケ地は忍者の里以外ありえない。IOCのバッハ会長も「日本人の忍耐力を示してもらおう」と言っていたではないか。


というわけで、伊賀鉄道周辺の広大な農村の中に「夏の終り」を探した。のだが、なにしろ天候不順にやきもきしたし、改めて季節の移り変わりの早さには驚かされた。捕まえようとすると、スルリと手から抜け落ちてもう二度と還らない夏に人生を重ねる。

ちなみに、昨年は剣聖の里を訪ねてそれが架空の話かも知れないと述べたのを覚えているだろうか。それに比べて、もっと荒唐無稽に思える「ニンジャ」の方が実はリアルだ。活動を支えるだけの土地資本があり、薬学知識の集約地があり、歴史の表舞台から追われた部族が集まっている。


だから忍者はきっと現代でも、マクロ世間の裏側でさまざまに暗躍しているに違いない。あるいはそんな彼らでも、ミニチュアスケールの関心事をもつことがあるのだろうか?

そういえば、ミニチュア風景を歌に詠んだ「俳句」で一躍有名な松尾芭蕉も伊賀上野出身であり、その正体は忍者だったという説がある。もし芭蕉が忍者だったとしたら、おそらくその人生は伝えられているより、よほどハードボイルドだったのではないかと思う。

「夏草や兵どもが夢の跡」

※証拠に基づかない、個人の感想です。

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■ 識別情報


Series夏の終わりとニンジャ・ハードボイルド・ワンダーランド
Photographer九条いつき
Captured Date2021.8.20-25
Location伊賀鉄道周辺
Titles夏の終わり_01-15
Reproduction Limit3
ID Historynatsunoowari,
Notice撮影日が混在

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