不在のビジョン、或いはオトナ帝国の逆襲を表現した写真作品
■ 附記
というわけで、今回は16部の真四角写真を選定した。最近のデジカメは撮影時から真四角で撮れるので、後から切り抜くよりも感覚をダイレクトに反映させやすい。そして今、真四角写真といえばインスタグラムなどのSNS。つまりこの作品は、SNSにアップロードされていても違和感がないように意図している。
それというのも、この作品は自己完結せず、プロジェクト参加者の桜写真と混合する形での展示を想定しているからだ。4×4面の上下左右に、同じく誰か別の4×4面の桜写真がずっと広がっているイメージである。その写真の群体が、巨大な桜の木を形作る。
これは要するに、大阪万博で人気を集めたパビリオンのひとつだったスイス館、通称「光の木」のオマージュである。「光の木」は電球を網の目状にして立体を構成していたらしいのだが、今であれば代わりにディスプレイを貼って映像を流したり、あるいはプロジェクターで投影したりできるだろう。そんな空想である。
ところで件の中心だった『太陽の塔』が現在内部見学できるようになっているのはご存知だろうか?そこでは岡本太郎の作品『生命の樹』と『地底の太陽』とが、現代風にアップデートされ再現されていて、往年の「現代アート」を偲ぶことができる。
これら過去に一度放棄された作品が今になって再生されたのは、『太陽を盗んだ男』が『生命の樹』をリフレインしてみせたアニメーションの流行と軌を一にした流れなのではないだろうかと思う。
そして風の噂では、微妙な立場になってしまったシン東京五輪の後には大阪万博(Rebuild)が控えているらしい。ここでもまた、繰り返しの風景なのだ。喜劇として繰り返される偉大な過去。それを突きつけられているのは 自称 事実上の現代アート作家も同じ立場という自省の思いで、とりあえず思いつきの案をだしてみた。
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■ 識別情報
Series | 世界を支える無名の木々(仮 |
Photographer | 九条いつき |
Captured Date | 2021.3.31 |
Location | 万博記念公園周辺 |
Titles | mumeinokigi_01-16 |
Reproduction Limit | ? |
ID History | mumeinokigi, |
Notice | 試作 |
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