アンチノミーの迷子描線


■ この作品は、同時リリースの『イリバーシブルの成長曲線』と照らし合わせることで、ある一つの事実に気づくことができるようになっています。

 

これは拡大して細部をご覧になっていただかないと、よくわからない写真です。まーそれもまた面倒だと思いますので、ひとつ撮影地である“遠州灘”の説明をさせてください。

 

“遠州灘”とは、いわゆる海岸線のことです。

静岡県にあり、北野武監督の映画『菊次郎の夏』で主人公たちが失踪した母親を探しにいって迷子になるという舞台だそうです。

それと忘れてはいけないのが、“浜岡原発”があるところということ。

 

なんか聞いた事ないですか?震災のあと停止するしないで揉めていたあれ。

アレです!

“遠州灘”とは、来たるべき南トラフ東海地震による被害を避けるため、線路の一本すら通っていない陸の孤島。

そこになぜかというか、だからこそというか、ぽこんと原発が出来てしまった、そういう所なんですね。

写真の左手奥に見えるのが、その浜岡原発。もう一方、巨大な風力発電機が浜辺に沿って林立しているのが右手奥に見えます。

 

さて、ではどちらに行けばあの憧れの”母なる海”へ向かえるのか?

 

その謎解きは、もうひとつの作品と併せて考えると解ける。・・・のでしょうか?

ここには、“遠州灘”という次元の狭間に立ち、しかしどちらの未来にも進めそうにない・・・。そんなイマがベタに写っています。

 

 

 

 

PREVIOUS:Photographic Works